狭い司書室で、私は息を殺して時が過ぎるのを待っていた。
 毎月一度、この時期はいつもそうだった。どんなに抑え込もうとしても、腹の底から湧き上がる妖力が制御できない。
 犬のように浅く速い呼吸を漏らしながら、肩を掻き抱いて宥めようとする。昼休憩が終わり、日が傾き始めた頃。今は授業中だから生徒達がこの図書館に来ることは殆どない。放課後までに何とか鎮めなくては。
 そう気ばかり急いても、蟠る熱は身体中を這い回るように蝕んでいく。
 彼──響河と交わってからというもの、熱暴走のようなこの現象に悩まされていた。もはや、以前のように宥めすかしてやり過ごすことは困難を極めていた。

 村正は熱に浮かされた頭で、どうにか熱を発散させることを考えた。
 放課後までまだ、時間はある。少しだけならば…と自らの上衣の裾から手を差し入れる。

「ん、……っ…」

 普段より心なしか張っている胸を両手で撫で摩る。妖力が出口を求めて燻っているのを感じる。ぷくりと腫れた突起に触れると、びりびりと背筋が痺れた。指先で突起を挟み、何かを搾り出すようにぎゅうと引っ張る。少し痛いくらいの甘い痺れが脊髄から脳へ伝わり、熱い息を吐き出した。

「ふ…ぁ……あ、んん…っ」

 無意識にゆらゆらと振れる腰を恨めしく思いながら、胸の感覚へ集中しようとする。親指と人差し指で突起を引っ張りこりこりと左右に揺らしながら、村正は彼のことを考えていた。途端にジンと重くなる下腹部に、浅ましいと思いながらも目を閉じ、彼を瞼の裏に思い描く。自分よりも少し無骨な彼の手に躰を弄ばれるのを想像すると、胸の中心から溶けていくような気さえした。こうが、と彼の名前が口を突く。あまりに熱を孕んだその響きに、切なさが募る。
 ──これでは、まだ、足りない。ぎゅうと爪を立ててみても、焦ったい痺れに苛まれるばかりで、苦しささえ覚えた。どうしようもない熱に炙られ、浮かされ、閉じた眦からじわりと涙が滲む。縋るように、響河、響河と何度もその名を呼ぶ──

「……村正…っ」
「──…ッ!?」

 ガタンと荒々しく扉を開ける音と共に飛び込んできた声に、耳を疑う。顔を上げると、扉の前に息を荒げた彼が立っていた。幻でも見ているのかと眼を見開く。

「響河、なぜ……」
「何故って、…お前、ずっと呼んでただろ…」

 咎めるような眼で睨められる。しかしその瞳は潤み、切なささえ湛えている。
 つかつかと歩み寄ってくる彼を呆けたように見つめていると、遂に腕を掴まれ唇に噛み付かれる。
 どくんと身体が脈打ち、触れた熱に呼応するように腹底が戦慄く。

 熟れた実を握り潰されるような感覚に、もう一度、彼の名を呼んだ。


***


 響河、響河、──頭の中に響いて身体中を支配する声に、気が狂いそうだった。熱く切ない声ははっきりと俺を求めていて、俺の身体まで蝕んでいく。

 いつも通り午後の授業を受けていた俺は、突如脳髄に鳴り響く声に授業どころではなくなってしまった。
 身体の芯が燃えるような熱に支配され、何も考えられなくなる。──あいつの、力だ。思考をぐずぐずに溶かして恣にする。
 俺は気分が悪いと言って席を立った。実際、顔は真っ赤に染まり汗ばんで、熱でもあるのではないかと思われただろう。
 廊下に出るとあいつの声はよりはっきりと聴こえた。ひとりでに脳裏に浮かぶあいつの息遣いのひとつひとつや、白く上下する喉仏や、熱く潤んだ頸や──とにかく頬でも抓っていないと、気が触れてしまいそうだった。

 足早に向かう先は保健室ではなく図書館だった。
 懐に忍ばせている鍵を震える手で取り出し、通常生徒は入ることのない司書室の鍵穴へと如何にか差し込む。
 大きな音を立てて扉を開くと、むわりと甘ったるい幻香が鼻を突き、空気は風のない夏の日陰のように茹って感じられた。

「……村正…っ」
「──…ッ!?」

 彼の名を呼ぶと、びくりと肩を震わせ振り向き、眼をまるく見開いた。

「響河、なぜ……」
「何故って、…お前、ずっと呼んでただろ…」

 何故と問いたいのはこちらだと睨みつけるが、呆けたように半開きの唇や紅潮した頬に釘付けになる。側に寄り、堪らずその唇に噛み付くと、熱が直接どくどくと流れ込んでくるようだった。こうが、と唇の隙間から小さく囁かれ、 顔を離せば蕩けた瞳とかち合い、思い出したように心臓が跳ねる。
 本能が促すままに、村正の下腹部へ掌を滑らせると、慌てたように腕を掴まれ制止される。

「……どうした…?」
「…今は、ここに触れてはいけない…」
「?  何故だ」

 村正は一瞬視線を彷徨わせると、ゆっくりと口を開いた。

「……私の妖気は、月の満欠と呼応しているんだ。月に一度、この時期になると陰の気が大きくなりすぎて制御が難しくなる」
「それで、俺に声が聴こえたのか」
「そのようだな……すまない、呼び寄せるつもりはなかったのだが」
「抑えが効かないと、どうして触れないんだ?」
「月から無尽蔵に吸収して溢れた妖気の残滓のようなものが、ここから出てくる」
「…う、ん?」
「見た目は人間の血に近い。が…お前の力に反応し、触れればどんな影響を及ぼすかわからない」
「それって、…」

 俺は自分がぽかんと口を開けているのがわかったが、どうしようもなかった。それではまるで、人間の女の月経ではないか。確かに村正の躰には男性器の代わりに女性器がついているが、そんな所まで似通っていたとは。俺は口を閉じると同時に生唾を飲み込んだ。

「……でも、触るなと言っても…このままでは辛いんだろう?」
「……以前は何とかやり過ごせたんだが、……響河、お前と交わったことで妖力が何倍にも膨れ上がっているらしい」
「交わっ……、」

 以前の情交を強制的に思い出させられ、顔がカッと熱くなる。まごつく俺に構わず村正は長い睫毛を伏せ、俺の手を取る。

「もう、抑え込むことができないのだ…蟠る妖気を発散させないと、私は…可笑しくなってしまいそうだ…」
「……俺は、如何したらいい?」

 浅ましく醜い衝動を宥めすかしながら、やっとの思いで言葉を紡ぐ。如何すれば、お前を助けられるんだ、と。村正は、俺に助けを求めているから、呼んだのだ。俺は決して、捕らわれたわけではない。衝動と欲望に、支配されたわけではない──必死にそう、言い聞かせる。
 握られた手をそのまま、村正の胸へと導かれ、ごくりと自分が唾を飲み込む音が狭い部屋に響いた。ここを、と彼の唇が妖艶に形作られる。

「ここを、さわってほしい」

 するりと布の上から滑らされたそこは、相変わらず薄く骨ばってはいたがいつもより微かに膨らんでいるような気がする。今度は自分の意思で以て指を動かすと、ぴくりと村正の肩が跳ねた。

「……ここだけで、イけるのか?」
「判らない…自分で触っても、到底無理そうだったが……しかし、響河が触れてくれるならば、或いは…」

 熱の篭った声でそう言われては、心臓をぎゅうと締め付けられるような心地がする。余裕のない顔を見られるのが厭で、村正の躰を反転させ後ろから抱き締める形になる。不思議そうな声を上げる村正を無視し、服の裾から両手を差し入れると村正は俺の手との温度差に驚き背を反らせた。硬い骨の形が浮く脇腹から掌をゆっくりと這い上がらせ、焦らすようにそこへ辿り着く。背中に自分の身体を密着させていると、ばくばくと脈打つ心臓に気付かれてしまうのではと思ったが、そうしないと触り辛いのだから仕方がない。
 しっとりと汗ばみ、僅かに張った胸の薄い肉を寄せ上げるように掌で包むと、村正はじれったそうに身を捩った。既につんと硬くなっている突起はわざと避け、掌で擦るように刺激するだけでは大層物足りないだろう。しかし村正は何も言わず、睫毛を伏せ俺の手指の動きをじっと見守っていた。
 次第に熱い息が吐き出されるようになり、鼻から抜ける甘い声に聴覚を刺激される。

「ん、……ん…っはぁ…」

 両掌で円を描くように揉みしだくと、村正はより切なげな声を上げた。いい加減に自分自身も焦れてきて、指先で突起をカリと引っ掻けば、密着した腰がびくりと戦慄いた。こりこりとしたそこを指の腹で潰して捏ねると、その度にびくびくと肩を跳ねさせる。

「…んッ、…ふ…ぁ……あ、」

 今はまだ授業中で、外は燦々と太陽が照らしていることを最後の理性で覚えているのか、村正は手の甲で口許を押さえ必死に声を我慢しているようだった。それでも抑えきれない熱い息に、下腹部がずんと重い熱を持つ。
 無意識に唇を舐めながら、今度は人差し指と親指で乳首を挟み左右に揺らす。ぷっくりと腫れてすっかり弄りやすくなったそこをぎゅうと軽く抓れば、悲鳴に近い声が上がった。

「ひぁ、あ…っ! こ、がぁ…っ」
「……どう? きもちいいか?」
「ん……ッもっ、と…」

 村正はそう悩ましげな声を漏らし、強請るように胸を突き出した。しなる背骨に生唾を飲み込むが、もっとと言われてもこれ以上指の力を強めると村正の躰を傷つけてしまうのではないかと思った。
 少し考えてから村正の背中から離れると、村正は不思議そうに振り返る。熱く潤んだ瞳に湧き上がる衝動を鎮めながら、俺は側にあった大きめのソファに腰掛けた。

「こっち来て、俺の上に跨がれるか?」
「…、ああ」

 そう言って村正をソファの上に膝をつくように導く。俺の脚を跨いで肩を掴ませ、そのまま上衣の裾を首の下まで捲り上げて胸を露出させた。外気に晒されて驚いたのか村正が肩を跳ねさせるが、息をつく暇もなくその湿った肌へ唇を寄せた。

「っア…! は、ぅん……ん、ッ」

 ぷるりと美味そうな突起を舌先で擽ぐると、その動きに合わせて村正の躰も跳ね、俺の肩を掴む指が強く食い込んだ。
 動いた拍子に捲り上げた服がずり落ち、前髪のあたりにぱさりと当たる。煩わしさにもう一度裾を掴んで、村正の口許へ持っていく。

「ここ、咥えて持ってて…その方が声も、我慢せずに済むだろ…」
「ん、……」

 言われるが侭、村正は布の端を咥えると、いよいよ我慢できないというふうに更に胸を突き出した。白く透きとおった肌にうすく汗が煌めき、目前に全て曝け出される。真っ赤なそこに再び顔を寄せ、ぬるりと舌を這わせると甘美な甘さが伝わりびりびりと脳を痺れさせる。
 片方の乳首を舐めながら、もう片方は指で捏ねくり回し、時折薄い肉を寄せるように掌で胸全体を掴むと、村正の睫毛が恥ずかしそうに震えた。俺はそれに気を良くして、何かを搾り出すかのように揉む動作を続けた。肋骨のあたりから突起の先端に向かうように、また円を描くように。
 空いていたもう片方の手を背中に回し、躰を支えがてら背骨をなぞるとそれすらも刺激になるようで、村正は更に体躯をしならせた。

「ん、ん……ぁ、あっ…んぅ…ッ!」

 手を動かすたびに無意識なのかゆらゆらと腰が揺れ、漏れる声が耳を擽ぐる。煽情的な動きに堪らなくなり、舐めていた乳首をじゅるりと吸い上げる。

「ひっ、ア……! ん、はぁ…っんん…」
「…、むら、まさ……ッ!」

 不意に、ずっと必死に意識を逸らしていた陰茎が刺激され、びくりと身体が跳ねた。力の抜けた村正の躰が徐々に自分にもたれかかり、恥骨のあたりが俺の股座へ押し付けられたらしい。いつの間にすっかり芯を持ってしまっていたそこへ密着したまま、また腰を揺らめかせるのだから堪らない。お互い布に包まれたまま恥部を擦り合わせ、焦らされるばかりだった俺はもどかしさに頭が可笑しくなりそうだった。必死に舌と手に神経を集中させながら、より一層動きを激しくする。乳首を乳輪ごと口に含み、先端を舌で転がし、時折歯を立てたり強く吸い上げたりする。もうそこは可哀想なほどに真っ赤に腫れているが、構わずにぬるぬると唾液を絡ませ、舌を這わせ、弾いて、指で扱き上げる。かくかくと戦慄く村正の腰に合わせて自分も思わず腰を突き上げそうになる。どちらも布に阻まれているというのに、まるで本当に情交に及んでいるかのような気分になった。

「ぁ…あ、…ッこうが、ぁッ、は…待っ……ぅ、あ」
「……っ…」

 肩を掴む村正の手にぎゅうと力が入った。爪が食い込み感じる鈍い痛みすらも下腹部にずしりと響く。声を上げた村正に、俺は遂に絶頂が近いのだと解釈し、じゅるじゅると音を立てて乳首を吸った。

「んんッ! ァ、だめ、そんな、吸ったら…ッひ、あぁっ……くる、何か…っくる…ッあ……!!〜〜〜〜ッ…!」

 ぷしゅ、と、口の中で何かが弾けた。同時に腔内に広がる、味。──ひどく甘い。
 呆然としながら口を離すと、腫れた乳首の先から自分の唇へ白味がかった唾液の糸が繋がるのが見えた。そこから、じわりと白濁した液体が滲んでいた。
 顔を上げると、肩で呼吸する村正の熱い息が額にかかる。大きく見開いた双眸と視線が合い、村正も狼狽えているのがわかる。

「これ、は……なん……っ今まで、こんなことは……」
「……おっぱいなのか、これ」

 すごく甘い、と続けると、村正は慌てたように俺の肩を押して離れようとした。しかし全く力が入っておらず、がっちりと腰に回した俺の片手の力だけで簡単に抑え込むことができた。

「っちが……っこんな…私もこんなことは、初めてで……っ しかし、下から出る残滓とそう変わらない筈だ、今すぐ……、あぁッ…!?」

 しどろもどろな村正を無視して、今度は先程まで指で弄っていた方に吸い付く。じゅるじゅると音を立てて強く吸うと村正は全身をびくびくと震わせ、また口の中に甘さが広がった。それは信じられないほどに美味で、俺は夢中になって吸い出した。もっともっと味わいたくて、両手で両方の胸を揉みしだくと液体の出が良くなるようで、搾るように手を動かし続けた。口を付けてない方からもじわりと白い液体が滲み出るのが見え、慌ててそちらも舐め取る。離した隙に反対からぴゅくっと雫が飛んだ。勿体無い。

「あ、ん……はぁッ…こ、が……ん、んぁ…っ♡」

 慌てていた村正の声もすぐに蕩けてしまい、俺は神経を舌からも耳からも溶かされながら舐め続けた。飲み込むと熱が身体の奥に溜まっていくような気がした。無意識に解放を求めて、全く着衣を乱さないままの下半身を押し付け合う。布越しの感覚がもどかしくも単純に擦れるのは気持ちが良くて本能に任せるまま腰を揺らす。遂に我慢がきかなくなって、両手を胸から離し、村正の細い腰をぎゅうと掴むと思いきり腰を上に突き上げた。

「い……ッ!! ぅ、あっあ、ぁ……!♡」

 びくんと跳ねる身体を無理矢理抑え込み、獣のようにがつがつと腰を振る。村正の秘部へ布越しに硬くなった陰茎をごりごりと何度も打ち付けると、先走りが下着の中でにちゃにちゃと泡立つのがわかった。打ち付ける動きに合わせて嬌声を上げる村正は、何かから逃げるかのように躰を捩り始め、俺の肩を掴んでいた手で、そのまま抱きかかえるように俺の頭に縋りついた。呼吸ができないくらい胸を強かに押し付けられ、湧き出る液体を享受されるままに飲み込んだ。

「あ、あっん! はぁっ…こう、が、もう……っア、んんっ!〜〜〜〜〜…ッ!!♡♡♡」

 声にならない悲鳴と共にびくびくと全身が痙攣し、口の中にはまたぷしゃぷしゃと液体が噴出され、村正が再び絶頂を迎えたことを知る。荒く肩で呼吸をし、必死に息を整えようとしているようだった。俺はまだじわりと雫を浮かべる乳首から離れがたく、舌先でゆるゆると舐めていた。

「ん…っ♡ 響河、私はもう大丈夫だ……っ口を離せ…」
「んー……」
「響河、お前の方が辛いだろう、今度は私が…」
「じゃあ、このまましてくれ」
「……仕方がないな…」

 どうあっても胸から離れようとしないと知った村正は呆れたような笑みを浮かべ、さらりと俺の前髪を掬った。そのまま何度か頭を撫でられると心地良くて、まるで赤子のように目を閉じちゅぱちゅぱと乳首を吸った。村正がまた甘い声を上げながら、するりと片手を俺の下腹部へ滑らせる。
 すぐにでも限界を迎えそうな陰茎の形をなぞるように掌で包まれ、背筋がぞくぞくと粟立つ。布ごとやさしく何度か扱かれると、それまで直接的な刺激を与えられなかったそこは下着の中でびくびくと震えた。まずい、このままでは……と思った時には既に思考らしきものすら形を残しておらず、ただ村正の手の中でされるがまま、夢中になって乳を吸っていた。

「く…ぁ、むら、まさ……っも、ア…ッ」
「ん……流石に早いな…辛い思いをさせて、すまなかったな…」
「うぁ、あ、でるッ……ふ、あ…!」

 蕩けるような声を耳に注ぎ込まれながら、先端を軽く抉られただけで果ててしまう。下着の中に広がるじんわりと濡れた感触に、頭の中の僅かな覚めた部分が後悔と不快感を覚える。村正が熱い息を吐きだし、尚ひくひくと戦慄く陰茎を指先でなぞるのをどこか意識の遠くから眺めていた。未だ口の中に残る甘さのせいで、ぼうっとした熱がいつまでも頭から抜けない。

「……服が汚れてしまったな。この体勢では少し動きづらくてな…悪かった」
「…いや……、む、らまさ?」
「きれいにするから、もう少し我慢していてくれ」

 そう言うや否や、村正は素早くソファから降りて身を屈め、呆けた俺のズボンを下着ごとずり下した。まだ緩く芯を持った、しかし達したばかりのそこを躊躇いなく口に含まれ、なさけない声が口を突いて上がる。先程はあまり触れなかったカリのあたりや裏筋までも念入りに舌を這わせ、窪みや皮の襞の間まで余すことなく舐められる。まとわりついた俺の精液を残らず舐め取ろうとする動きに、かっと頬が熱くなる。仕上げとばかりに敏感な鈴口を舌先で抉られ、堪らず腰ががくがくと震えてしまう。
 再びすっかり硬くなってしまった陰茎から村正は一旦顔を離し、満足気に眺める。抗議の声でも上げようかと口を開く寸前、村正の薄い唇がうっとりと吊り上げられる。

「……今度は私のなかへ、存分に出すといい」

 ごくりと生唾を飲み込むより先に、根本までその口のなかへ導かれ、すっかり包まれる。それから村正が満足するまで、幾度となく精を飲み込まれた。最早さらさらとしたものしか出てこなくなって漸く、俺は解放された。

 随分と長い時間が経っていたように感じたが、そこでちょうど放課後を迎える鐘がドアの外から聴こえてきた。時間でも計っていたのかと投げかければ、村正は悪戯っぽく微笑むだけだった。





20180806
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